とあるスナップ天然色

結城永人


差し違いに捻った両手の
親指と人差し指とで
食い付けたファインダーを
パチリと写真へ収める

二十六歳の夢魔だった
大きな奴に追いかけられて
うねりくねりながら
非常口を出ようとするや
ノブが化け物の鼻面で
踵を返せば安息すれども
エスカレーターへ
乗りかけていたとは

良い線を放つ恋人こそ
撮りたいのはカシャリと
シャッターを押さなくては
左手の人差し指でだ

幾つも菊が咲いている
優しさそのもので
持て持てだった
凄かわのビジョンかしら
必然的な別れ方も
成果と考えられずにいない
通じる気持ちの所以を
覚えておいて欲しい

右手の中指と薬指と小指に
丸め込むフィルムしも
三枚目なんざ切り取った
クッキリと映すまま