哀願する女

結城永人


茅葺きの屋根に
湯気が立ち昇っていた
冬も間近な十一月の朝で
太陽は低い光を差しながら
山並みで囲まれた
集落を照り映えさす

男は眩しくて
刈り取った蜜柑を剥くのも
渋い表情で煩わしくなり
網袋へ入れるのだった
村の民家を眺めると
安息に興じ
扉も出て行った

啄む白鷺がいる
午前九時の泥濘を
餌と錯覚したのかしら
冷たい風も吹き及ぶ
板切れは恰も斑猫の如く
吐かれて跳ね
汚れたまま
再び密やかに沼と同化した

溺れても溺れても男だ
必死な抵抗は止むを得ない
払い除ければ鼻歌だろう
暇も惜しまなかった
草地で寝転んでる