真っ只中

結城永人


損壊した蟻塚が風雨に晒されていた
かつて繁栄した様子は多少とも遺されていない
遠く離れた平原ではアリクイの死骸が光沢を放つ
雨は容赦なく叩き付けながら荒れ狂う風も余念なかった

通りすがりの鍛冶屋が鎬を削った日本刀を地面に突き立てる
まるでオベリスクという気品が漂うはずだった
類推してみれば照れて舌を覗かせずにはいられないようだ
鍛冶屋は哀悼を表明したかったにせよ
なぜなら膝を付き合わせて話し込めた伴侶が埋葬されたからだ
跛行しても休息しない無茶な日毎を長引かせてしまった

そして飛行船は馬鈴草へ影を落とした
可成の低空で相当な重圧が伴うにも拘わらず
バリカンは速やかに頭髪を刈り揃えて
牛革を鞣そうとする作業も滞りがないまま
打ち砕かれた砂糖を塗したアゲパンは柔らかな仕上がりで
正午の海峡へ響くハーモニカも根刮ぎにする悲痛こそ漂流させるモルモットなのか
観察する小石が吐く溜め息は衛生的だった

モルモットも気絶した十九歳へ寄り付く
衝突したトラックが鮮血を浴びていた
交差点の雑踏に掻き乱されながら信号機は冷厳らしく
まさか介抱したレスキューの担架へ泣き崩れる両親もいなかった
若気の至りのバイクがペンダントを強かに粉砕するまま

アメリカは火星へ打ち上げた
仔細に探査したいシャトルである
アンテナも交信するべく待機している
どんなコマースとなるのかしら

突破した由縁の梯を愕然と締め出す
亜麻の服で身を包んだ芸術家が従えた驢馬は相槌を打てない
辛酸を舐める苦吟と等しいララバイも濃厚だった
郊外に粋狂した蜈蚣は穴へ掘り進む
マロニエが降下する太陽光を吸収していた
薄情な棺も絶えて有望しなくてはならず
社会は閑散と親和力を形成した
手を合わす観音が直立している