ライト・バラード

結城永人


朧月夜に打ち建てられた
輝かしい金字塔で住まう
永年の恋人を仰ぎながら
死んでしまいたくなるも
湖水の波へ湧き出す泪を
浚わせていられたかしら
大切なことは抗わないで

引っ繰り返る宝箱があり
十月も初旬の肌寒い嶽だ
腹を括ろうと来てみるや
死ななくてはならなくて
案外と舞う雪に紛れつつ
息の根を止め得るにせよ
大切なことは抗わないで

野茨が端正に実を並べる
平静で囲われるばかりか
風ですらも祝わっている
死ぬべきであるかぎりの
小さな小さな棒を拾って
地球そのものに等しいと
幾つか組み合わすよりも
大切なことは抗わないで

這い回る山椒魚がいても
情けを受ける性質だった
木曜日の午前四時となり
死なないではいられずに
土壌も吹き飛ばされるが
介したならば子鹿だろう
大切なことは抗わないで

何れは銀世界へ変貌する
死にたがるべくあれども
花柄の羽毛布団を被った
大切なことは抗わないで