愛に操られて

結城永人


心底よりも別れて良かったと想える。付き合っても不思議を意識できなかったのではないか。まるで良い人を応援したいような接し方が嬉しかった。親しみに触れられて可笑しかった。幾らでも縒りを戻せると感じてしまう。時空を超えて再会できる。別れを追い抜いて喜びを増やして行ける。僕は詩人的な人なのか。神よ。上達した歌よりも恋が発展しなかった。少なくとも聴かせなくてはならない。五月から一月まで愛に操られて弱々しさを奮発していた男の遠近に天使がいた。理想を否定した直後で自殺する力もなかった無情そのものが救済されているという事実。現在でも変わらない。ただし捕まえてみせる。実らない気持ちは納得できないんだ。腹減りどころか芽生えでさえもなかったではないか。僕が冷たさに怯えて逃せるのは世界だけで、ただの無様だった。