シンシア

結城永人


吹き募る逢瀬は妖しく煌めいて
宛てもない羊皮紙に認められた時刻を留める
清純な香が岩陰で充満していた
鼬を追いかけて芽生えたアネモネに実効性は痺れを切らす
はぐれ雲の行方も粛々と得られないまま
産まれる鴕鳥の雛を抱き支える情景へ浸透する潤いがある
強かに打ち付けた風で野麦は倒れ伏してしまい
ラピスラズリの原石こそ純化された夜の気配を反映していた
調べは恰もスズメバチとカナブンの樹液を巡る対決が終息する如く豊かだ
流氷へ取り残された三角定規も赤道を急ぎたがらない
完成するやジグソーは空豆の散乱だった
飛行機が歴史的な事実として始祖鳥を称える
毒茸は成熟しつつ水煙で被われたラフランスも絶妙に垂れ下がる所以で
艶めかしさを呑み込んだ精彩が保たれた