放浪譚

結城永人


根性がなかったわけではない
弱虫と捕獲されるよりは良い
さもないと頓馬かも知れない
性急に命綱を示してしまえば

世間体に背いて探し当てた自我
まるで青林檎を齧るかのような
独力で酸いも甘いも掻き回して
取り込んだ情緒的な真相という

南国は優しさに乗った風合いへ
熱いハイビスカスを咲き咲かせ
染み渡る浜辺の潮水の冷たさも
椰子が反って逞しく照り付ける
太陽の麗らかさと共に土着して

本国の仲間たちは連れ戻そうとした
なぜ下らない人間として生きないか
死期を控えた徒労こそ悲壮的であり
どう欲求を膨らまそうとも消滅せず
落魄してしまった正体を悪徳として
引き受けるのが立派ではないという
衝撃的な事実を突き付けられながら
喉元を切り裂かれた苦痛に匹敵する
本来の歴史上の心理性であるべきだ
せめてハブが毒牙を剥かないかぎり
無意識に没入するのも結構とはいえ
所詮は異郷的な安逸で永続できない
察すれば涙で顔を濡らしたはずだが
一分一秒も無駄に余計にしたくない
だから再会できる皆を渇望していろ

ハンモックに涼しく佇みながら
読了した文面を腹へ据え兼ねて
両手も添えて微睡む午後二時の
額は濃厚な贖罪を破裂させられ
かくも引き返せない平静なのだ

天然の神通力が清純に撹拌する
意気地がないゆえでもなかった
カシス・ビスケットは美味しい
持参品では全く一つもないので
現地へ醸される野蛮が欝陶しい