吟詠

結城永人


憶えてるかい
生まれ育った場所を
今では子供たちがいるし
架空の出発点さ
考えてみれば
死なないのが幸いと
可笑しくもあるだろう
到達した現実こそ
先々は昔よりか
恐ろしい気がするな
潤える命とは云いつつ
長く停止しない

旅館の一室でね
感慨へ浸ったんだ
立ち昇る幻影に包まれて
通過してしまう
自殺したくても
喜ばしい貴方を見付け
聞き入れようとするかぎり
僕は渇望するべきで
外気を強かと受けた
積年の成り立ちが美しい
歴史的な開花へ臨ませるよ
恰も殊勝の如き生命力
偏えで構わないぞ
神様を意識するたび
良いのは天国になるとは
無性に悲しかった

涸れる声は出て来ず
少しの祈祷も上がらない
姿が萎れて消え失せる
暗く想える人生わ
不吉へ正鵠を射られると
風化した弱味だった
泣かざるを得ないやら
虚覚えの煌めきが