うねる走馬灯オペラ

結城永人


劣悪な環境に身を委ねて
僕が流れ着いたのは神社だった
手を合わせると記憶が蘇る
部屋を
大層も
掃除しなかった
突如
巫女が寂廖というのを頷く
さもなければ面倒でも億劫でも同じだったかも知れない
本心を打ち明けるには信頼が不可欠だ
渋る賽銭を出そうとした僕を
巫女は押し戻しながら
まるで不憫のように
黙り込む
境内へ五円玉も
余裕がなかったのだった
突き当たる壁に跳ね返されるまま
僕は神託を請ける
古めかしい文化も去り
中座した巫女の模倣よりか
生きたいといって
祈願する

埠頭へも流れ着いた
醜怪な地方で
蝮が舌を振るわせて
威嚇する
横町に紛れ込み
僕は呟きかけたのだった
「墓参り」
放置された自転車が無残だ
幾年も疎かで錆び付いた
心境と重なり合う
先祖が顔を覗かせるように
まるで歪んだ車軸も思わしく
乗り遅れた時代の仕業なのだろう
僕の似ても似付かない足取りならば
もしも不遇が反り返るのである
墓地は半円に及んだ山陵も遠巻きながら
晒される豪雨で濡れそぼっていた
青銅と等しく御影石の碑名をくすませて
今度こそ僕は話さなくてはならない
開いた傘も長靴も泥濘の土砂も尻目にかける
「侘しさ」
どうするべきかは辛辣だった
立ち上がるのも腰が重くて痛烈であり
ただ生きるのみが真摯なのだ
僕は敬礼したい
永眠する星々の讃美歌へ
沈静しなくてはならない
聖域に
孤高の気持ちも
潔く
葬られ
安らかな告別を待ち受けた
絶景

霊魂が世間で
夥しい
知覚されずにいない
僕は出向いた
旅先を
第六感と瞑想するのだ
恋人よ
手の内も明かす
しよう
喜ぶべきと
ヒヨコ
歩いては人参へ行き当たり
胡麻に倒れて落ちる
なぜ産まれたのかを考えて
恋人よ
可笑しく
菓子は幼稚園でも
引き擦れ
野性味も付かなくはなく
来る
アンクレットを綺麗だ
かつて
邪悪な快楽としての
性分であった突拍子が
粉砕されつつ僕自身
天使と
呼び交わすよりも
ならざるを得ず
熱望しよう(胸中)
端々しい
天空ならば
緩める箍の外れで
閂や締めが解けた
だろう
散乱はポピーか心臓の脈々と冴え渡るべき月光だ
かりに真正な
直情も
息巻ける僕は愉快だった
そんなだのこんななんか
恋人よ
飛躍するのは早い
とても純朴である
こっちとかあっちなんて
跳梁するのも遅く
朴吶
あんなそっち
など
求愛した:恋人よ
らしい
スピードという
なども
僕は体得したのだ

雲は空を泳いでる
風に誘われて海へ来ていた
森林の騒めきで導かれ
火炎も小石と泣きながら
貴方を
馬車が駆けに駆ける
貴方へ
屋台が盛りも盛れる
貴方で
季節は廻りに廻れた
貴方と
毎日は栄えも栄えた
工場の吐き出す煙が上がり
涎を垂らす乳牛も突き進んだ
競技場は観客で埋め尽されて
真夜中へ聳えた神殿と凄い
僕は飛べなかった
苦しく噎べども
僕は潜れなかった
辛く啜れども
走れなかった僕が
嗄れるや痛い
揺れなかった僕が
咳くや恥ずかしい
醜悪な知識が除外したのか
まるで莢豌豆の芽のようだ
生まれ付きだった哀切こそ
再び実現されてはならない
貴方を必要
とする
僕も
肝心とする
貴方

重要となり
僕や厳重だった
貴方に僕の忠誠である