レジリアンス

結城永人


的外れの谷で衣服を脱いだ
魔獣は自惚れそのものだ
なんて現実味なのか
悍ましい肢体も露にしつつ
獲って食おうとする気か
僕自身へ睨み返して
手を当てた腰で仁王立ちで
威厳を示せるかのように
まるで動き出さない
手玉に取られてはならない
指一本でも干渉してみろ
凶暴な牙が毒を打つ

龍よ 運んで欲しい
黒曜石の密室へ 速く速く
懲り懲り 茶番という
幼気な天使の 腹癒せさ

かつて美味しかった杏子も
撒いた硫酸には敵わない
食器棚が慄然として
溶解するのも歯止めはなく
どんな煙幕を伸ばすのか
不束で巻き付けられ
僕自身の傷口へ染みていた
墜落よりも様変わりして
型破りの魔獣だった
まさか殺されてしまうのか
天井の片隅に反旗を翻し
加勢する憤懣らしく

連れて欲しい 虎よ
凄く凄く 針葉樹の奥地へ

どんな贖罪が敢行されるか弛緩した力量を凝縮して
毛穴の先端で浅ましい
鳥肌が立っても供えられず
まして無限の宇宙は甚い
多少とも予想できなく
僭越ながら手一杯の檬果だ
完遂されない過失として
船乗りは生業を控えた

茶番という 懲り懲り
腹癒せさ 幼気な天使の

子供をあやす母親であればよもや頓知も効かせたく
恵みの雨を降らそうか
通じ合った謙虚な面持ちで
新芽も吹ける成り行きで
揺らす肩身が狭かった

腹癒せさ 幼気な天使の
茶番という 懲り懲り
良く良く 社会の自然体へ
授けていろ 徳よ