狸も棲む里の訪れへ

結城永人


小屋がある
一軒の小屋が
材木で造られた
一階建ての堅固な
山小屋だ

ぽつねんと
山の木立ちに囲まれて
存在感を示していた
辺りでは流れる小川の音も
騒めきながら

風流だった
水を汲んでみると
冷たくて気持ち良い

陽射しは高く
仄霞む稜線も向こうの空に
気持ち良く浮かび上がり
揺れているのだ

戸口が開くや
出て来たのはエゴなんだと
かくも揺らめくみたいに
物珍しい様子で
通りすがりに話し込み
別荘で暮らすなんて
聞かされた
他にも
欲望の代名詞とか

エゴは下り坂を伺い
湿地帯で行き倒れると
もぞもぞ
俯せの状態のまま
匂いを嗅いでいたのだった
趣味として

傍観せざるを得ず
試しに行わないならば
あるいは趣味でなくとも
内心で渋らないのだろうか
訝しがられてしまう

生えた蕨は
数本の蕨だった
渋みを兼ね備えて伸びる
堅苦しくなく