歌暦(丸一年)

結城永人


一月

幻や後には引けぬ冬ならば破れ被れも漆黒の空

二月

突発で暮れる冬とぞ表立ち魂さえが平穏ながら

三月

春先へ水は流れて久しくも某々を透き通らせて

四月

神懸かり畏れ多くが春の森重い命の普遍性かな

五月

晩春も前兆となる予感さす右へ左へ机上の光へ

六月

夏服や数え切れずに心して絶縁するな有望株を

七月

夏山わ二度と再び招くまい触発されど情深さで

八月

永遠な自由を悟る真夏こそ総天然と拡がり続く

九月

秋口の意思の疎通や恋の夢類も稀に花は塞がず

十月

噂する風土も秋の夜長かな極好ましく一筋縄と

十一月

行く秋は愛すればこそ魁を翻り得て星雲のまま

十二月

冬枯れに募る想いよ小旅行超現実を巡り巡らせ