崖っ淵

結城永人


落ちるから押すな
精神的にも金銭的にも
人それぞれの事情があって
立たされてしまう……

眼下に広がる
荒々しい海が染みるまで
僕たちは考えたのか

打ち明けられない
誰にも何にも
迷惑をかけられないんだ
心配はかけたくないんだ

仲間でもないかぎり
聞き入れるべきではないと
救助されるよりも
鼓動こそ――

感じていたのか
打ち明けられるべく
救助しなければなるまいに
君たちは安穏しながら

鰹鳥へ触手を
伸ばした磯巾着は亡骸の
鬼笠小を通り越さない
間借りの熊の実へ
鯱も黙りこくるまま

知っておくと良い
分かっているにも拘わらず
散々な往生際だ