命拾い

結城永人


どん底でも
歌っていられる
死ぬ気なんだ

言葉を口にすると
日付変更線が巡って来て
刳り貫かれた言語に
対峙してしまう

死ぬ気なのか
歌っていながら
どん底では

肩透かしを食らい
持ち堪えるのも精一杯な
心細さを張り上げる
現実よりもなく

歌ってみれば
死ぬ気だろう
どん底なので
歌ってみせろ
どん底ならば
死ぬ気として
歌ってみよう
どん底だろう
死ぬ気なのは
歌ってみない
死ぬ気ならば
どん底として
歌ってみるや
どん底なんだ
死ぬ気だった

時計は午前五時の
九月十八日の部屋を
出て行くと暗い
詩もなくなってしまった

涙汲む詞にせよ
単語も誘われていた
泣き止まない文章だって
情深いではないか

死ぬ気になり
どん底だと
歌っていられる