詩人の歌〜水の精と生の涙〜

結城永人


長雨が降ってる
赤子が泣いてる

外界は押し退けられ
周囲は湿り出してた

積木が落ちそうな
弄してないのに
奇妙な気分で

伽藍が造れそうな
参ってないのに
異様な気分で

遮断されつつ幻聴してた

長雨が降ってる
赤子が泣いてる

外界は掛け離れされ
周囲は温み込んでた

護符が落ちそうな
奉ってないのに
奇怪な気分で

尖塔が造れそうな
利してないのに
異質な気分で

遮断されつつ幻聴してた

降り頻る雨が細く
長く水を零してる
垂れてる粒が太く
短く滴を流してる

何処かしら

空想の間際より
紡いだ言霊が引き留めた
記憶の賞牌へと

耳を預けて

深遠な内部に
生霊こそ上り詰めて来れた
迅速な軌跡で

泣き繁く子が浅く
赤く涙を湛えてる
溢れてる粒が深く
黒く滴を流してる

何時かしら

推理の末端より
接いだ言霊が取り置いた
思念の賞杯へと

耳を委ねて

鈍太な内部に
精霊こそ下り展べて来れた
近隣な度量で

水は注いだ
涙は湧いた

頻りに
繁くに

粒と
滴と

恰も糸束の如く
恰も鎖列の如く

水は縒り戻す
原初の景観を
移って行って
精と変わった

涙は擦れ返す
原初の景観を
移って行って
生と変わった

幻聴しては打ち拉がれる

水は至れる
涙は尽くす

微かに
強かに

雨と
子と

恰も脈拍の如く
恰も鼓動の如く

水は寄せ返す
最期の時空を
表して行って
精と呼ばれた

涙は揺り戻す
最期の時空を
表して行って
生と呼ばれた

幻聴しては打ち拉がれる

流れてた
流れてた

山岳を
湖畔を

水の精が彷徨する
生の涙が散策する

放たれた
解かれた

光彩に
風雅に


女神しか判らない


流れてた
流れてた

尾根を
桟橋を

水の精は彷徨する
生の涙は散策する

包まれた
含まれた

光彩に 風雅に