感性が感受性に蹴られる場合

結城永人


太股を押さえて痛がった
飛んで来た向こう脛の一撃で
怪我するわけではなく
避けるつもりでもなかったとは
正直なところだった
打たれなくてはならないのも
本当のところで
受けざるを得なくなるのだった

スクランブル・エッグの食欲が済まされると
豊かさが恰も朝顔の如く萎んで行きつつ
日光で煌めいた池の錦鯉が激しく身を捩る
国道を走り去る真っ青なスポーツ・カーも唸り

とするや
感性と感受性には
互いに相容れない部面がある
要因は話し合いだ
オレンジの嘴を持つ鳥が
塗り絵か九官鳥かで
感受性は感性を蹴った
好きにしろともいわずに
股を直角に開いて
二本脚で立っていた片方へ
半ば水平な格好だ

男が女と豆腐に似た接吻を交わしても可笑しくはない
もはや似るという点では鳩尾まで垂れ下がる首飾りか
点ならば三三七拍子の音頭を取るタンバリンみたいで

分かり過ぎた余りに
殆ども伝わり及ぼした
気質の回り諄さが
それぞれを融和させていて
区別が付かなかったせい

滑稽にしては剽軽な
剽軽にしては奇態な
奇態にしては偶有な
偶有にしては法外な

盆栽の松を梅に差し替えがてら
速やかな降雪の訪れを想った