自然な音

結城永人


素晴らしく聞くばかり

電車に乗っていて
近くで喋り声がする
幼児だったのか
面白がっている様子に
和ませられた

素晴らしく聞きながら

訪れてみると
森は雨だった
湿った深緑の
木の葉の陰に隠れて
蛙が鳴かない
垂れる滴の
忍ばしさを包んで
広がる靄にも
和ませられた

素晴らしく聞くつもり

涙汲む能力へ
小熊座が響くようだ
朝も夜もなく
惹かれる日々なので
必要不可欠と
和ませられた

素晴らしく聞きがてら