世界に刻まれる言伝て

結城永人


影の身
どこかへ失せて呻きもない
責を負った余りに惨め過ぎる状態を帳消しにされた後で
聞かれていた歌も略同じく
なくなり
四散した――

僕は魚釣りに励んだ如く
恰も竿を持ち堪える格好だ
離れて行った情愛は
やはり近付いて来ないという
様子で肩を
叩かれだのしない
没入らしく

身の影
祈りは神の代わりに天使こそ呼び寄せた
終わらない歌が流れるや
機械の辺りも汗塗れだった
日本人が団子を食べる
風は穏やかに吹き遣りながら休息を取らせる
光に
殆ども見えて来ずに及ぼす闇の彼方へ
月と太陽の間でひく付く虫の腹が弛むと
死海に浮かぶ玩具の雛が
手を離れた
心も

戯けてみせる胸裏は
芸術的な格子を徐々に徐々に突き上がり
湯気ならば硫黄から立ち昇っていた
自然の全てが薄紫に包まれるままだった
目を擦っても
仄かな火へ油を継ぎ足せども
剥げ落ちない

交錯する
想いの刺繍も枯れ切って
花輪を稚拙に掴ませた
冷たい孤独感で
腰回りが空くくらいしか
現実は訪れず
そして優しく蹴飛ばされた犬が
頭へと出戻って
糸巻きの地球を考えても
意向せず
重力は薄らいでいた