深い溝

結城永人


彼と彼女は似た者同士で
互いに付き合えずにいた
嫌われるのを恐れる余り
腰が引けてばかりだった

男の優しさと
女の親しさに

活路はないか

詩人が天使を

河馬に乗せて

通れるほどの

二人は惚れているんだ
惚れているから良いと
二人は想ってしまって
想ってしまって良いと
二人は動かないらしい

美しい心と
明るい気に

脈絡はないか

重要な男と
大切な女に

展望はないか

神様が歴史を

丹念に繙いて

開けるほどの

人生が過ぎて行くだけだ
好きでも寄り添わなくて
各々でしかなかったまま
悲しまれもしなさそうで

収穫はないか

活路はないか

脈絡はないか

展望はないか

時空はないか

心離れては
気隔てては

手も繋がず