今までよりも

結城永人


彼女は目敏く
他の誰とも違うと感じ取っていた
出会ったばかりの

彼を

五月蝿く追い払われもしないで
すっかり上機嫌だった
彼は心強く

彼女を

慕わずにはいられなくなるのだった

彼女は読んだ
虐げられはしないと
本のようにまるで

彼を

魅せられてしまって
音楽ではなくても
彼は聞いた

彼女を

憧れずにはいられなくなるのだった

彼女は実際に
幸せを噛み締めながら
生きて行けるに違いなさそうで

彼を

自由にしなければ
苦しみでしかなかったと
彼は明白に

彼女を

敬わずにはいられなくなるのだった