Section 10

結城永人


磨きをかけた魂は素敵さを待ち続けていた
喫茶店に入ると紅茶で喉を潤している
真実が顔を出したのは0.08秒後だった
扉を開けて右へ曲がれば隣の服飾店の試着室で店員が客の肩幅を計っているのかも
壁に掛かっていた牧歌的な風景画の額縁に他意はなかった
美しい社会で彼氏は彼女に内面を明け渡すつもりだったにせよ
現実なのかどうかも判然としないもので
大した言葉もないままに地球だけがただ軌道上を運行している
裸になって手を繋ぐ自然ともいうべき理想が流れて来たとき
詩人は天使を探しに行くための用意を整えていた
電波塔を食い荒らす鬼どもがコミュニケイションを妨げると退治したかったのではない
まるで兎を追いかけるように逸る考えを抑えながら指輪を眺めるのだった
出かけた途中で神憑りな大爆発と共に非道を締め括る鑢が飛んで来ても二の次で
眼差しは曇るどころか輝きを増してさえもいるという
決死の行く手を遮るのはなぜかマンションだった
屋上へ孔雀が時間をかけて上がって行く
どこに砂糖ではなくて人参よりも求めていた空しさが眠っているのか
癒さざるを得ないところの営みだったにも拘わらず
際どい壁の傍らへは絶えて毬藻も転がっていなかった