静穏を取り返せ

結城永人


紛れ込む
込み合った縁日へ
血が通わなくなるかぎり
動転した気もし
愈々と
卒倒しなければなるまい
普段着で
人々の輪の中かしら
透き通る祭の光景に
情緒も安定した
裏漉しの熱波を対応して
露店と立ち入りたく
自然体が好い

盥の救うべき金魚わ
朱や褐で嫋やかな泳ぎだ
回る目も惹起されるさ

棚は打つべき景品や
角や奥が密やかな並びだ
噛む舌も興奮されるな

綿も掲ぐべき菓子ね
雲に雲と淑やかな喩えだ
擦る肌が蠱惑されるよ

知を証された仮面だ
恋も愛も麗しげな標しさ
甚い耳へ保管できるよ

意が膨らめた風船だ
水の世で柔らかな飾りね
抓る鼻は進展しないわ

帰ろうか
暗い夜道も好ましく
皆方を背に受けながら
高々と
打ち上げ花火も
開いては凋んでいた
土手を降りる
追い越しの自動車が消えて
野営地は遠巻いたまま
喋ってみれば
逆風へ凌ぐ想いが
染みる

まるで回る目の
ような日常だった
まるで噛む舌のような
日常だった
まるで擦る肌

ような日常だったまるで
甚い耳のような
日常
だった
まるで抓る鼻の
ような日常だった