早春のトリル

結城永人


好きだった
気持ちがまだ愛苦しさに
馴れ合わずにいられた頃は
まだ世の中も明るく
驚かされる後ろめたさが
煩わしいと思いながら
仕様なく留めて

だけどもう
胸には甘さが残っていない
冷めないはずの心根も
過ぎ去るならばもう

苦しさは戻らないから
まだ好きだった

ガーネットが遺失されても

熱くなるのに
もう煩わしいと思い
振り払うまで戻らない
魂を込めた
打ち当たるべき甘さをか
尽きないでいたかった
力のかぎり