望郷

結城永人


小山に立てるなら

灯台が円錐の頂点を昇降させながら回転させる明るさも長細く
縁取られて浮薄する泥寧は春が隔てる霜柱を包含して
絡み合い
隆々と重力の抵抗で軟化する方面へ
聳えた櫟の数を指折るより

遥かな気分だろう

貝殻を採れたらば

風船は南向きの紐の蝶結びを引き摺りながら小刻みに揺らめいて
萎れず
設計された区画を概括する暦に綴じられる日毎と
縦縞が醸し出す胡桃を内から外まで展開できた
範囲の僅かな品定めより

悠かに胸裏らしい

架橋を渡れるなら

笊に盛られた蕎麦の曲線が重なり
鉄砲魚に発射される水滴を受けた
鉛が遮蔽できる月で
窪んだ王冠を刻印する兵隊蟻の行進が白旗と囲んでは炙り出す
火炎の中心の串刺しより

遥かな官能だろう

坂道へ往けたらば

付き添う雛菊は棒切れを埋め尽くして
独楽が巻き起こす三角形と
毛糸を縒り合わせて作り出される歯車へ石臼が砕いた胞子は速やかに飛んで来て
漏斗を分裂しながら変化する気圧も低い
徐ろに靡く札付きより

遥かに腹蔵らしい

時候を戻せるなら

土竜が掻き穿り
油を敷いた鍋を弾け捲った玉蜀黍は熱く
飛行機の滑走路も舗装された空港の周囲に整然と配置された鉄柵へ
立て掛かる帽子は矢印を垂直に向け
判別される畑が面立つより

悠かな情緒だろう