情趣

結城永人


時は経て
場は遷る

桜の咲いた春
蝉の鳴いた夏
栗の実った秋
雪の降った冬

風は発つ
月は照り

爛漫と見れた
絢爛と聞けた
巌然と嗅げた
荘厳と触れた

場は遷る
時は経て

春の散った桜
夏の黙った蝉
秋の逸した栗
冬の失せた雪

風は発ち
月は照る

やはり見れた
まさか聞けた
なんと嗅げた
しかも触れた

時は経て
風は発つ

春に乱れた桜
夏に狂った蝉
秋に慌てた栗
冬に戦いた雪

月は照る
場は遷り

計なく見れた
切なく聞けた
美しく嗅げた
麗しく触れた

風は発ち
時は経る

桜へ耀いた春
蝉へ導いた夏
栗へ薫った秋
雪へ即した冬

場は遷る
月は照り

見えたようだ
聞けたらしい
嗅げただろう
触れたみたい