結城永人


深淵を覗き込む
冷たい風が吹き上がる
微かに僅かに
僕は輪郭付けられた心で散歩してみた
額縁が生起させる不在の絵画が見えるかのように
まるで耳鳴りだけがするのみだ
梯子と連想された有象無象の穴は触れるのかみたく
まるで胸突きこそしてしまう
……いやはや
僕は両手を背中から腰を廻らせると各々を鳩尾まで併せた
掻き抱いたのは気体である
ともかく――
散歩しながら石畳で幾らか小鳥が飛んで行くのが見え
落ちてる羽根の何れかを触れる
娯楽施設は静まり返り
賑やかな商店街というと頭脳へ轟かざるを得ない時刻
更々と解らない
肩を竦めて話すのは 誰か 暮れる秋のポプラ並木と程近いバス停で?
首を擡げて躍るのは さも軋むベンチへ コインを撒き散らす人士か?
孤高のニューヨークとベルベットで鮮やかな壷
口を開けば
きっと風景が液体となって
世相は波に揉まれるだろう
僕は想った
薬指を入れて暗喩を嗜んで
漠然と声色が流れるや意識を集中する
空が燃える
茜に物陰がくすんだ
どうしても!!
僕は散歩した
河辺に野球場を俯瞰できた
交互に繰り出す 両足を
向かった先は屹立する偶像だった
アンニュイを引き起こされる
僕は関節という関節が一斉に硬直しそうでも
翼をクッションにして寝転んでる天使がいた
身軽い
偶像は半ば蹲踞しながら須く舞踊してたのだ
右肘を曲げて左腕を伸ばす
もし女神と絶縁するべきならば符合する記念碑は審美的かも知れない
僕は祈りも願いも封印する
境地へ
偶像に対しては徐々に後退さろう
天使へ手招きを行い
さっと
写真はシャッターを逃すまい
記録ならペンシルを捕まえる
少年たちを観戦するザリガニも水中へ投げ打たれた釣り針の鯣を弄びつつは満悦か
詩人
平たい情景が漆黒の夜空で角張った流星の黄土を放り込んだ?
ある感覚を引き受けた
天使が「澄明」と呟いて
些やかな刺激に耽りたい