ディアレスト

結城永人


満月の頃合い
まるで桜色のような
印象を持ったのは
縁結びだろうか
もしや考え違いならば
妄想狂へと

生き残りの蝗が
待ち構える田んぼを
知っていたのに
細かな気持ちよりも
惚れてしまった

分かってやしながら
振り切ったのも
奥床しい気持ちこそ
鷺は生き長らえ
惚れ惚れとしたので

笑い死にするくらい
惹いた沖の鰤や
泣き崩れさすほどに
森も貂ぞ魅せた

ところがさてむろん

渡してみたいのは
一つの気持ちだった
色艶やかな容貌として
記憶に残るべき
喜びのかぎり

頓珍漢では
余りに懐かし過ぎる
人情そのものだ