胸臆歌

結城永人


匂い立つような
ブーゲンビリアが咲く丘で
待ち倦ねている

貴方は現れない
およそベルギーの暗夜月を
齧ったにしてみては
筋違いでもなかったか
出出しが耳新しく
触れ合った言付けも
日増しと膨らみ行くので
ただ目立たないだけに
透かし得る面差しへ
名高いばかりと考えられた
仕舞いに――

アンドロメダへ眩暈だ
工夫された小説を読み耽り
入り組んだ格子路で
不覚と蹲ってしまったのは
嬉しがれずも哀しめない
境涯の押し込みだった

誂え向きの白木机の下に
丸まって置き身がてら
まじなわずにはいなかった
灌漑の手長海老こそ
知覚するまで振動するから
ともあれ錬成なんだ
物笑いの種よりも遥遠な
生き直しとして――

担ぎ上げる僕がせずにいた
愛の一本槍を手堅く