人ら

結城永人


豆腐屋の角を曲がって
冷やした頭に浮かんで来る
仰天な事象は追憶だった

ボディ・ビルダーが
筋骨も隆々と誇示するまま
行き止まりの標識を
引き返さなくてはならない

決め込むにや早過ぎる
誘われた笑いが疎いかぎり

殆ども内省中だった

自己流で満足できない
時間を潰しがてら
三輪車に跨がった幼児と
通り交わしている世の中へ
スクラレアは
直に咲き出したのに

弓を取り下げる
バイオリニストが一礼した

メモ帳は空欄だ
迷い込む広場も忽焉なので

ベンガル・トラは
取り留めたのだろうか
穴ぼこへ落ちてしまえども
君臨しない縄張りならば
大方とも一命を