涙のサーカス

結城永人


思えば呑み込んだ
言葉の多さは尋ねられた
素顔だったのかも

惑わせて済まない
細やかな
美しさへ

観ておくれ
猛獣遣いの鞭捌きを
ボロが出たのも
気を回して疲れたんだ
燃え盛る輪へ
潜り抜け捲るや
金網の檻でバイクが走る
気を回して疲れたんだ
ピエロは
手玉に取って
会場を渡り歩けど
愛されていたものだった
掟破りなのか
強かに
鳴り響いた銃声は
空砲なので
心臓へ掠めなかったにしろ
手前だ
クライマックスの
弓を引いて放たれた矢が
林檎を捉える
一直線に頭上で
空中ブランコは早くも
始まっていた
切り札があれば
落ちるぞ
まっさかさまだった
はずもなく
喝采が浴びせられる頃に
気を回して疲れたんだ

宵の明星が煌めいて
幽かな面影を匂わせた
向後へは戻らない