春雨

結城永人


いつしか
降り方はしとしと
鎮め去って行く
気分というものを
口に出さなかったまま
薄暗い空は
縮み込むよりも
抜錨していた

群れ飛ぶ烏が
でやなく
支脈を濡らした
葉叢を滑る
言霊の
縁かしら

気分というものを
口に出さなかったまま

切り株で
身の毛も弥立つように
象虫の集る
あからさまな
風趣なんだ

鎮め去って行く

気分というものを

口に出さなかったまま

薄暗い空は

解いてみると
拘泥りへ靡かせる
怪訝でもなくて