花瓶で傾ぐ胡蝶蘭

結城永人


割れた石に証人はいない
いなかったというべきか
誰なんだ
セロテープを貼ったのは
数時間前
僕が僕以外にしなかった
真っ先へ

山火事で黒煙が上がった
駆け降りて行く黒豚こそ
黒焦げにならずに済んだ

君だった
胸へ染みてしまいながら
ハーモニーを模索すれど
下弦の月に機嫌を損ねる

足長蜂は
逆三角の巣を作っていた
輪切りのラ・フランスと
非常に良
く似たも
のにせよ
一体全体
雨なのか

受け取る様子は如何にも
缶詰めの匂いがするので
沢蟹も泡吹き食う飯粒を
直伝せず