スタイリッシュな証

結城永人


思い残すはずもなく
自然の手綱を振り切って
転がり込んで行くと
上半身は裏町の道沿いで
雑草とプリンの味が
言葉に染み渡るのだった

猫の黒い毛

流し目で巻こうとしたのは
自己防衛の要請だ
川へ向かう水の匂いに
罵られてでもいるかのようで

人嫌いだった
少年期の終わり
受け入れても受け入れても
受け入れては貰えず
確かめるために
拒否してみた
心情というものは
ではない
を、
貶したことがない
でもない
は、
ではなく

だったんだ。

猫の黒い毛

絵を描いてあげるよ
ベレーとパレットの画伯は
本場仕込みのカレーを
好むと好まざるとに係わらず
煮込んだりもしていない
かくて出来上がりだからナンにくるむなといっても空気を入れ換えるつもりならば絵の具はルーでメビウスの帯へ首を突っ込むよりも出っ張りぞ控えて笑わないか――

秋田で
「なまはげを観た」
「馬大頭を捕った」
「着物を着ていた」
かつて
「田沢湖へ行った」
「祭りへも行った」
体験で
ある

猫の黒い毛

抱き留める両腕へ
ずっしり来るのも
推定だったかぎり
なんと深いだろう

実体が聞いているのだった
 まるで林檎の皮を
  剥きながら
   みたく
    厳粛な空間だ
     認識するべき

僕たちには