叫び声の届くかぎりよ

結城永人


人生を決めた出会いがある
貴方の気持ちも親しまずに
時期こそ過ぎてしまえども
振り返れば感謝の極みかも
言葉にならなかった総てを
今改めて実直と噛み締める

轡を解かれた馬たちは
勝手気儘に蹄を駆る
柵へ打つかるのを避けながら
馬たちは思い思いで過ごす
富良野の広大な牧場だ
遠足の児童たちか
生えていた牧草を毟り取り
小さな手で差し出すのだった
寄って来た面長が驚異的で
児童たちも喚き出したり
面白がって戯れたりしていた
昼食の時間になると
白地に花柄のシートを敷いて
海老の天麩羅等を

黙っていても良かったんだ
喜ばしく受け留めて貰った
確かに変化も著しい原点だ

浮浪者へは雨が降った
小路を走り行くのは熊鼠で
捨てられたキャベツも仄白く
湯気を立てる朝霧に
植え込みの毛虫も光っていた

地球の裏側では
ラン・ウェイを行く
ファッション・モデルだ
肘を曲げて腰辺りに手を着けて
歩を探るように伸ばした
寸刻の脚が況んや
羚羊の姿を思わせるので
険しい断崖絶壁も物ともしない
息を呑んで目を凝らすや
空想も歯止めが利かなくなり
金鉱で汗臭く掘り出した
極僅かな価値の重みを
胸ポケットに入れておいて
生きた心地を味わう

飛行機雲が流れていた
聞こえて来るメロディに
偲ばれるばかりの空も
数知れない思い出だった