無難印

結城永人


テレビの横の小さな水槽の中に目高が何匹か泳いでいる
群れを成すようにピキピキ同じような方向を向いて
または疎らにはぐれて泳ぐ目高も少しだけいるのだった
殆どは褐色だったものの乳白色も二三匹紛れたりしながら
淡水の底に敷かれた土塊も巻き上げられて舞い続ける

静かな気持ちがしたので
幸せというものかと
考えるともなく言葉を呑んだ
儘ならない実態への憂いが
憤りを通り越したのは
経験には他ならなかったにしろ
凝りが残るのだった
苦しい胸のうちは時空を抱かず
保たれた黙想へ消化したまま
行く宛もないはずならば
悪いとするせいではなくて
可笑しいくらい
詰まらなくて楽しかったが
腹ペコに牛丼を掻き込み
座布団で一人寂しく
趣きへ興じる暇はない
外は雨降りなのかどうかも
腰を起こしてみるよりや
忍び寄る夜の闇で
癒しが感じられ得るようだった
居間の明かりを消さないか
寝に立つのもまだ早いし
暫く振りに生じた記憶もなく
漠として如何許りだ