シュークリーム

結城永人


好きだったのは別の人なのさ
一緒に食事なんかしても
面白くも楽しくもなかったよ
余りに普段通り過ぎたか
大手を振って歩いたりもせず

しかし
しかしだ
時々は朧気ながら
君も愛されてや
しなかったというような
言葉を残してくれたことが
あったね
あった
あったあったよ

誰かに訊かれたら
必ずや応えるつもりの
グッと来る言葉
というやつを
貰っておいた僕は君へ何れも
思い遣らなかったのかしら

臍噛むな
なよ

恋すればこそ
存在にまで染み込むほどの
他の男性陣では代え難い
宝物を貰い受けた
はずだから
預り知れないとも
二十年前を考えるのは止して
夢見がちに

相変わらず
女を上げるしか
ないんじゃないかとかなんて
血迷いつつも
おっちょこちょいではなく
横目遣いな塩梅で
睨みを利かせているのさ
狼の遠吠えも宜しく
宙に浮いて
笑われるだけの
だよね