哀しみを認めるゆえ

結城永人


今漸く
蛹の背中が真っ二つに割けて
羽化を逐える紋黄蝶は
見届けられた
まるで自分のことのように
固唾を呑んだ眼差しも
捕らえどころのない草地へ
残像を探しながら
思い浮かべている

姿を晦ました
穏やかさが匂うまでに
時間は大してかからなかった
ものの
突如として
鼻を付く塩酸に悩まされるから
眉間に皺も寄り
数千年を味わってしまった
余りある某かも
暗黒物質へと
取り沙汰されるかぎりで

細やかな幸せが
訪れる日の高さに染み入った
心でしかない
写し出された川は緩やかだ
流れを美しく湛え
鮎は泳いでいるのだった
銀麟の閃きと共に
涙も萎れた