御機嫌斜め〜君の僕の熱

結城永人


柿を齧る
話す代わりに
肺で息を吸って
周りへ勘案してみると
怖くなった

思い出したくないことがある
何でもない気持ちなんだ
口を開けないくらい

そして
迷い始めた林だった
湿気に満ちて薄暗くて
歩を進めるや椎茸が栽培されていた
蹴躓かないように脛こそ殊の外と
注意しながら
好き勝手な方へ赴けば
太陽を目にする
眩しくてさては俯かざるを得ないものの
再び飛び込んで来た風趣とは
潤んだまま
艶やかな海岸沿いの
街並みに等しく
想えた

胸へ引き寄せる
握った手にはリコリスだ
由ない生活感かしら
突っ立って
突っ立って

草陰に潜む
イモリは這い出した
池よりも暫く
少しは泳ぎを控え
現れるともなく
離れて行った