浜の桜貝

結城永人


降り止まない雨の匂いが心を擽った
呪文を唱えて変身したくなる頃合い
何一つ良いことなどないというのに

うずうずしながら
街へ繰り出した
僕たちはパンサーを見受けて
格子戸が空っぽだ
懐かしくて
微笑みを交わしたのだった

何時の間にか
来ていると甚だしく
駝鳥が足形を置いたような場面へ
触れるのは強いて惜しまないまま
思ったよりも――

泡立つ波飛沫なんて
弄したりもしなくはない
シャーベットを
美味しがった僕たちが
遠くなって行くばかりだから
求めども始まらなくなる

今の今
掻き鳴らすべき音とは
角も取れて円やかだった
痺れを切らさないで